【あじ文字】「生花」第10号
程近くにある霊園の、墓参用の生花を売っているお店の看板である。
「花」という華やかな漢字には、やや似つかわしくない極太の文字が、残された家族を励ます。
生花とはすなわち「切り花」のことと思われる。
しかしながら、生花という文字の上の、半分見切れている花を見よ。
その根はしっかり大地に根差しているではないか!
ところで、「犬のフン かたずけろ!!」
「生きろ」と、背中を押される【あじ文字】のご紹介でした。
【あじ文字】「鳥谷部臨港倉庫さん」第9号
端正な文字列であります。
「鳥」という漢字の4つの点々、与えられた場所に慎ましくも窮屈に収まってる感じ…、微笑ましい。(あたえられた場所で咲きなさい的な…)
まだ頭デッカチなヒヨッコのイメージ。
「谷」という漢字は、ヒゲをたくわえたオジさまの苦笑い、といったところか。
このオジさま、絶対に悪いことはできないタイプ、やや気弱。
そして「倉」という漢字、上から掌で圧をかけられ、口の部分がはみだしちゃった感じ…、そのビミョウなさじ加減…、【あじ文字】真骨頂。
(ところで、巨大な倉庫だけど、どうやって文字を書いてるのかね。
脚立じゃ間に合わないよね。クレーン?結構歴史ありそな倉庫なんですが…)
頭デッカチなヒヨッコの、
巣立ちの瞬間(とき)に思いを馳せる【あじ文字】のご紹介でした。
【あじ文字】「家の中、丸ごと処分OK」第8号
「家の中、丸ごと処分OK…」、いったいその家で何があったのか…
その事情には触れますまい。(まあ当然、有料よね)
いま、注目すべきは「文字」です。
「一般廃棄物収集運搬許可限定第〇〇号 有料」(息継ぎなしで言えますか)
「一」の漢字のみが妙に強気です。
が、魅かれるのはむしろ「一」以外の文字列のふぞろいなゆらぎであります。
一生懸命書いたのだけれど、出たり引っ込んだり、トタンを継ぎ足したり…
さらに指摘しておかねばならないのは、「家の中、丸ごと…」の「、」の部分。
これは果たして「、」なのでしょうか。
「´(ダッシュ)」的なアクセントをイメージしているようにもみえます。
あるいは、ただの泥はねか…
ま、「OK」を赤で強調しているのはさすが商売人です。丸ごと処分OK
「家には家ごとの悲喜こもごも」と、遠い目をする【あじ文字】のご紹介でした。
【あじ文字】「肩こり 腰痛 ぎっくり腰」第7号
とある界隈のカイロプラクティックの看板。
すべての文字が絶妙のバランスで歪んでいるのがお分りいただけるだろうか。
「肩」という漢字の「戸」と「月」は、脱臼しかけているし、
「痛」という漢字からは「つうぅ」という声にならぬ声…
「ぎっくり腰」という文字からは「あぁ、こ、こし、やっちまった‼︎」という叫びがハッキリと聞こえてきます。
これらの歪んだ文字群、もしかして作為的?
施術師は、きっと名医に違いない。
日々の行いを矯正したくなる【あじ文字】のご紹介でした。