【あじ文字】の世界

味のある「手書き(手作り)の文字」、名付けて【あじ文字】をめぐる旅

【あじ文字】「学芸会 1954」第18号

親爺の古いアルバムをめくっていたら発見

 

60年以上前の小学校の学芸会の白黒写真です。

ちょっと驚き、どの文字もハイセンス。

目を見張るのが西暦「1954」。「9」も「4」もスタイリッシュ。

「5」という数字にかかる「輪っか」は飾り?

幕に描かれたマッチ棒みたいなデザインもおしゃれだ。

 

1954年ですので、当時、親爺は小学生の高学年…。この中にいるのかな。

女子3人、中央でバイオリンに、アコーディオン、弾いちゃってます。

 

堂々としたもんだ。

 

現代へとつづく女子活躍の時代の幕開けを彷彿とさせます。

 

♪古いアルバムをめくり~と夏川りみの「涙そうそう」をBGMに

感慨に浸ろうかと思った矢先のハイセンス【あじ文字】のご紹介でした。

 

【あじ文字】「田中冷菓さん 氷」第17号

民家のあいだに商店がまばらに点在する通りで発見。

 

「氷」

 

たった一文字ですが、すらりとスマートな【あじ文字】に目が留まりました。

ていねいな色の塗り方は、お店の方の実直さを保証しております。

 

「田中冷菓」の緑がかった青と、かぶる「青」。

冷菓や氷のイメージとして文字色に「青」系を選んだのでしょうが、

目立たせるなら「赤」など他の色でしょう。商売二の次の「職人気質の店」とみた。

 

どうやらこのお店、いわゆる「ちりんちりんアイス」に卸すアイスを製造しているよう。

高齢のおばあちゃんと長女、母娘で40年以上変わらぬ味をつらぬいているとのこと…

 

100円玉を握りしめ、駆け出す子らが目に浮かぶ【あじ文字】のご紹介でした。

【あじ文字】「三忠食堂さん」第16号

青森県弘前公園の観桜会で発見。

今回目を奪われたのは、文字よりも、じつは絵。

 

仙人とおかっぱ…。

 

慣れない手つきで中華そばを啜るおかっぱ少女を、

やさしく見守る白髪髭の爺。

いずれにせよ、あの爺さんの導師のような服装と肩幅の広さ…

ただ者ではありますまい。

 

このなんとも不思議なふたりづれを看板に掲げる懐深き「三忠食堂」ですが、

地元では津軽百年食堂として有名な老舗店であります。

看板を拝んだ後、当然、暖簾をくぐり、中華そばをいただきました。うめがった〜

 

「どうだ、うめぇが」「うん、じっちゃ、うめえ」…

孫と仙人の会話が聞こえてくるような【あじ絵】のご紹介でした。

【あじ文字】「津軽中里駅構内踏切」第15号

青森県のローカル線、津軽鉄道津軽中里駅で発見。

ちなみに構内踏切とは、停車場構内にある道路と交差する踏切を指す、とのこと。

よくわかりません。が、まあ、いいんです。【あじ文字】の話ですから。

 

津軽」の文字のみ縦書き、「津」はよい加減に押しつぶされている。

中 里 駅の文字のややゆとりのあるスペースが、

あとの「構内踏切」を窮屈にさせ、結果的に【あじ文字】たらしめています。

中里駅構内では地元の有名人吉幾三の演歌が低く流れ、地元のおばちゃんが漬物を売っていました。嗚呼、ほっこり文字であります。

 

JRとは一線を画すローカル線ならではの【あじ文字】のご紹介でした。

【あじ文字】「たばこ」第14号

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 市街地から一本通りに入った看板屋さんの軒先で発見。

もう営業はしていないのかね。ここらもコンビニが席巻しているからね。

この【あじ文字】、小窓のひさしに直接書かれたようです。

看板屋さんであるにもかかわらず、ありきたりで力の抜けた文字に親近感。

小窓の奥にのぞく達筆な書も気になるところです。

 

あの角のたばこ屋には、テレビの大相撲をぼんやり眺めつつ、茶をすする婆ちゃんがいつだって鎮座していた、

そんなモノクロな風景をほうふつとさせる【あじ文字】のご紹介でした。

 

【あじ文字】「行止り」第13号

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太いビニールテープを切り貼りして製作したものと思われます。

切って貼る、切って貼る、ただそれだけの、無駄を徹底的に

(いやこの場合テッテ的というのが正しい文法、でしょうか)

省いた仕事と思われます。

言っても町内会の仕事ですからね。

ああ、だがしかし、この仕事には「愛」が感じられます。

袋小路に愛車ではまり込み、Uターンに苦しんだ幾多の人の顔が浮かびます。

そして、この標示で難を逃れた幾多の人の顔も…

 

なお、文字としては「行」のつくりの部分の「〒」感がよろしいかと。

あるいは「り」の寸止め感、でしょうか。

矢印の下書きの線も捨てがたい…(文字じゃないか)

 

赤い太文字が、やけに目につく【あじ文字】のご紹介でした。

 

【あじ文字】「アミ戸はり替え致します」第12号

硝子店の、軒先に立てかけられた網戸にダイレクトで書かれた【あじ文字】。

光が差し込んで見にくくてごめんなさい。

でも、網戸に書かれているからね…、

 

透けちゃうのよ。

 

「アミ戸」という文字のカタカナの「ミ」、かなりの急勾配、いいですね。

「致します」の「致」も習字さながら「とめ、はね、はらい」に忠実。

基本に則りつつ失敗した感じ…、いいですね。

でも、実のところを言いますと、「替」の幅広の味わいがたまりません…

皆さんはどの【あじ文字】がお好み?

 

何にだって文字は書けるさ、

チャレンジ心あふれる【あじ文字】のご紹介でした。